農園タイムラインを作ろう

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農家の防災
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 天気予報の技術が進んだおかげで、気象災害の原因となる現象の多くは、予測できることができるようになりました。

 しかし、いざ「災害が起きそう」という情報が出たら、どう対応しますか。

 誰がなにをするのかなど、その場で大あわてで考えていては、災害を防ぐことはできません。

 あらかじめ、自分の農園で起こりそうな災害を想定し、何日前に予想が可能か、どのような対策をする必要があるのかを時系列にまとめておくと、緊急時に慌てることなく適切な対応がとれます。

 災害に備えて、農園タイムラインを作りましょう。

 この記事では農園の時系列の防災計画である農園タイムラインの作り方を台風を例に解説します。

タイムラインとは

 タイムラインとは、「いつ」、「誰が」、「どのように」、「何をするか」を災害発生予測時刻から逆算し、時系列で整理したものです。

 国などの行政機関においては、特に水害においてこうした取組みを進めています。

 具体的には縦軸に時間、横軸に機関名を入れて、3日前には何をする、2日前には何をする、という表の形に整理しています。

 こうすることで、いざ災害となったときにも、マニュアルに沿った対応を慌てずにとることができるのです。

 以下は、国土交通省が台風の際に作成しているタイムラインの見本です。

 https://www.agriweather-jp.com/wp-content/uploads/2023/01/d8f284896586e3902ab2622c7c4453f4.pdf

なぜ農園タイムラインを作るのか

 行政機関では、国、府県、市町村、交通機関、ライフラインなど、多くの機関の多くの人間が防災対応に当たります。

 従って、時系列マニュアルともいうべきタイムラインの必要性はよくご理解いただけるでしょう。

 でも、うちの農園なんて家族と従業員を入れても5人しかいないのに、なぜタイムラインがいるの?

 そう思われる農家さんも多いと思いますが、以下を読んでください。

どんな被害が出るか、想定しておく

 一口に台風と行っても、強風もあれば、大雨もあります。海が近ければ、高潮への警戒も必要です。

 風であれば、ビニルハウスの被害がまずは心配ですし、果樹や果菜類などは転倒することも念頭に置く必要があります。

 大雨なら、田畑の浸水、冠水のほか、水路の決壊や畦畔の崩れ、土砂の流入などが考えられます。

 最も警戒すべきは作業場や農機具庫への浸水で、電気設備や農業機械類の全損を招きかねません。

被害を防ぐための作業をリストアップ

 例えば、ハウスの補強といっても、ビニールの張り替えといった大がかりな作業が必要な場合と、バンドの強度の確認、ジョイント部分の点検など、軽微な作業ですむ場合があります。

 水路一つとっても、ゴミを片付けるだけですむ場合と、コンクリート部分の漏水の補修では、大変な違いがあります。

 日頃からの点検、メンテが大きくものをいう場面です。

作業の優先度を確認

 作業のリストアップができたら作業の優先度を決めていきます。

 点検を優先して作業の順番を決めてもよいですが、日数に余裕がないのがほとんど。

 被害が出たとき一番打撃を受けるハウスや園芸作物の作業を優先させるのがいいでしょう。

 ただ、作業にトラクターなどの機械が必要なら、機械庫が最後になるのは仕方ないですが、機械庫の浸水が不安なら、機械庫を先にしてトラクターは別の所に避難させるなどの方法も考えましょう。

台風の農園タイムラインを作ってみよう

シートの準備

 ここでは、作業場兼農機具庫、ビニールハウス、水田及び露地の野菜ほ場を持つ野菜農家を例に、タイムラインを作っていきます。

 まず、シートを用意します。ここではエクセルの表を用意しましたが、上に線を引いても、ホワイトボードに下書きを作ってもいいでしょう。

 縦軸は時系列で上が作業開始時、一番下が台風最接近時です。

 横軸には分類(ここでは作業場、ハウス、露地)を記入します。

 ほ場が分散している場合や、特に条件の異なるほ場がある場合などは、分類をもっと細かくします。

農園防災タイムラインの様式例
タイムラインのフレーム

どんな作業があるか、列記する

 次に各分類ごとにどんな作業があるか、表に埋める前に列記しておきます。

 例えば、作業場だと、風で飛ばされそうなものの片付け、雨漏りや破れの補修、機械や資材の防水対策などが考えられます。

 ハウスでは、ビニールの点検はもちろん、強度が足りない場合は筋交いを入れる、締め付けやパイプの点検、電気設備の防水対策など。

 水田や露地ほ場では、水路関係、排水関係や、支柱の強化、倒伏予防などがありそうですね。

作業項目を時系列で埋め、表を完成させる

 作業項目が列挙できれば、作業を時系列で埋めていきます。

 ここで大事なのは、時間のかかる作業、補修が必要な作業は、早めから着手するということです。

 台風の場合は、中心から遠くても、強風や大雨になることがあります。早めから着手することで、中心の接近前に、時間がかかる防災対策を完了することができます。

 完成例を下に示します。

農園防災タイムラインの作成例
タイムラインの完成形

タイムラインはいつ作るのか

 タイムラインはいつ作るか、決まっているものではありませんが、できれば時間的に余裕のあるとき、農閑期やお正月などに作っておくといいでしょう。

 作るときには園主だけでなく、家族や従業員も入って、話し合いながら作るといいでしょう。

 違う目で見ることで、気づかないチェック項目が見えてくることもあります。

まとめ

 農園タイムラインについてまとめます。

  ○予想される災害に対して行う防災対策を時系列に並べて整理したもの

  ○いざ災害が起きるというときに慌てず対策を行うことができる

  ○農閑期に農園みんなで話し合って作成するとよい

 まずは、台風について作っておけば、大雨、強風の対策は可能でしょう。是非一度作ってみてください。

 最後まで読んでいただきありがとうございました。

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