西高東低は冬の主人公

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気象の基礎知識
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 冬の天気予報の定番として、「西高東低型の気圧配置」「冬型」「東北・北陸の日本海側で雪」というのをよくききますよね。

 西高東低型だとなぜ雪が降るのか、太平洋側にはどんな影響があるのか、大雪となるJPCZとはどんなものか、解説します。

西高東低型とは

 西高東低型は冬の気圧配置では普通にみられ、日本海側は雪、太平洋側は晴れて乾燥という天気になることが多いです。

 日本海側にとっては、毎年のこととはいえ、大雪は大きな問題となります。

 もちろん、農業においても、雪国ではほとんど外での農作業はできないですし、ハウスの大雪対策についても、コストや手数がかかってしまいます。

 一方、太平洋側の地方は、いわゆるからっ風状態で、雪なんて降らないと思う方も多いですが、まれに大雪に襲われることがあります。

西高東低型気圧配置

西高東低型の天気図 2023年1月25日9時
2023年1月25日9時の天気図(気象庁) 西高東低型

 図は、風雪が強まった2023年1月25日9時の気圧配置です。

 図のように、大陸のある西側に高気圧、太平洋やオホーツクなど東側に低気圧がある状態を西高東低といい、これが冬型の気圧配置です。

 基本的に風は高気圧から低気圧に向かって吹くので、日本付近は日本海から太平洋に向けて風が吹くことになります。

 もともとシベリヤからの風は冷たくて乾いているのですが、日本海上空で性質が変わります(気団変質といいます)。

 日本海は風の気温に比べて暖かく、乾いた風は日本海から熱と水分の供給を受けます。

 この風が上昇気流を起こして雲となり、日本海側に雪を降らせます。

 これが分水嶺の山地をこえると、湿度が低くなり、からっ風となるため、太平洋側は雲が少ない好天となります。

すじ状の雲というのはどのような雲か

 冬型気圧配置の時に、海上にすじ状の雲が発生します(上の写真の日本海及び黄海、東シナ海)。

 これは、地表付近の大陸からの冷たい風が、暖かい日本海から水蒸気と熱を受けて、積雲や積乱雲を作り、その雲が風向きに沿って列を作って並んでいるものです。

 夏とは異なり、雲は高くならないのですが、次々と日本にやってきて、雪を降らせます。

冬のすじ状の雲とJPCZの衛星画像
2023年1月24日14時30分のひまわり可視画像(気象庁)

JPCZとは何か

 JPCZとは日本海寒帯気団収束帯のことで、強い冬型の時に現れ、山陰から北陸に大雪をもたらします。

 北朝鮮の山岳により2つに分かれたシベリアからの風が、日本海で水分を含んだのち、日本海の真ん中あたりで再び合流すると、上昇気流が起こり、通常の筋状雲より強い積乱雲や積雲となり、日本に大雪をもたらします。

 衛星写真で見ると、筋状の雲の真ん中に、丸みのある雲が列をなしていることでJPCZの存在を確かめられます(上の写真参照)。

 南東向きのLモードの雲が西側に、それと直角の北東向きのTモードの雲が東側にできることがよくあります。

 気象庁の動画でこの様子がよくわかります。

JPCZによって太平洋側に大雪が降る

 西高東低で太平洋側に大雪が降るのはどのようなときでしょうか。先ほどのJPCZの動画をご覧ください。

 この動画では、彦根や和田山(いずれも関西の内陸)に雪を降らせるだけでなく、濃尾平野にも雪を降らせています。

 実際、この動画がとられたときは、名古屋にも大雪が降り、新幹線の運行にも支障が出たようです。

 動画でも濃尾平野から伊勢湾にかけて雲が流れていく様子がよくわかります。

JPCZの指向する方向に注意


 JPCZの雲は、通常の筋状雲より背が高く、分水嶺の山地を超えていくことがあります。

 特に、山陰から若狭湾にかけては、高山が少なく、JPCZの雲が容易に太平洋側や瀬戸内に流れてきます。

 これまで、JPCZによると思われる大雪は、濃尾平野のほかに、神戸や広島でも観測されています。

 JPCZができたら、その雲の流れていく方向を確認し、自分の地域を指向していないか、確認することが大切です。

まとめ

 西高東低型はよく見られる冬の気圧配置で、通常は日本海側が雪、大平洋側が晴れという天気パターンになります。

 しかし、JPCZが形成されるような強い冬型になると、JPCZの指向する方向によっては、大平洋側や瀬戸内に大雪を降らせることがあります。

 太平洋側の皆さんも、冬型だから大丈夫ではありませんので、常に気象情報に関心を持っていただくようお願いします。

 天気図の見方はこちら

 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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