お天気入門(4月から6月)

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お天気入門
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 自治体やJAなどの職員さんが、農家さんと話をするときに、よくお天気の話題になることがあります。

 でも、「いいお天気ですね」とか、「雨が降りそうですね」以上の話になると、なかなか農家について行けません。

 少しでもこうした人たちに気象のことを知ってほしいし、農家さんに「よく知ってるな」と思われてほしい。

 そうした願いから、この一連の記事を作成しました。

 一年かけてある農業団体の広報誌に連載した原稿を元に、三ヶ月ずつにまとめました。

 まずは、4月~6月、入門編と梅雨がテーマです。

 ブログの他の記事と重複する内容もありますが、これだけを読んでも一通りの気象知識が身につくと思います。

 ぜひ読んでください。

天気図見てますか ― お天気を知るには天気図から

令和5年2月2日の天気図4(気象庁HPより)
令和5年2月2日の天気図4(気象庁HPより)

 この図は、冬のある日の天気図です。

 これから始まる一連の記事を読めば、最後には天気図を見て、この日のあなたの町のおおよその風向き、天気、暖かい日か寒い日かがあなたにもわかります。

天気図に引いてある線は何?

 天気図には日本周辺の地図のほかに、くねくね曲がる線やら、高気圧と低気圧、それに前線の記号が書かれています。

 くねくねと曲がっている線は、「等圧線」といいます。

 等圧線は地上の気圧(空気の圧力)が同じ点を結んだ線です。

 通常の地図でいう等高線と同じような意味がある、天気図にとっては大事な線です。

等圧線は等高線と似ている

 地形を表す地図では、標高が高いところ、低いところが等高線で示されているように、天気図では気圧の高低が等圧線で示されます。

 水が標高の高いところ(山)から低いところ(谷)に流れるのと同じように、空気は気圧の高いところ(高気圧)から低いところ(低気圧)に流れます。

 空気が流れるということは、風が吹くということです。

 等高線が混んでいると急傾斜で水の流れが激しいのと同様に、等圧線が混んでいるときは風が強くなります。

等圧線で風がわかる

 日本列島ぐらいの大きな空間規模で見れば、概ね等圧線に直角に、高気圧から低気圧に風が吹くと考えて問題ありません。

 先ほどの天気図を見ると、中国に高気圧、千島に低気圧があるので、この日は中国から千島へ、即ち西風が吹いていたということがわかります。

 しかも、等圧線が混んでいることから、風が強かったこともわかるのです。

低気圧と前線は雨の便り ― 天気の急変にご注意!

 ここまで、風は高気圧から低気圧に向かって吹くことを説明しました。

 低気圧へは全方向から風が吹き込んできます。

 吹き込んだ風は行き場を失って、上空へと上がっていきます。これが上昇気流です。

上昇気流が雲を作る

 天気に直接影響する高度約15キロまででは、ふつう上空に行くほど気温が低くなります。

 上昇気流が上空に行くと、水蒸気は冷やされて水や氷に変わります。これが雲です。

 この時、上空と地表との気温差が大きいほど、また、地表付近の湿度が高いほど、雲は急速に発達し、積乱雲(雷雲)となって、雨や雷の原因となります。

 こういう状態のことを、「大気が不安定」といいます。

 低気圧の中心付近は、こうした上昇気流による雲によって、雨になることが多いです。

前線は暖気と寒気のぶつかるところ

令和5年3月10日の天気図(気象庁HPから)
令和5年3月10日の天気図(気象庁HPから)

 では、天気図を見てみましょう。

 北海道にある低気圧の東側には半円のついた赤い線、西側にはくさび型のついた青い線が引いてあります。

 赤い線は温暖前線、青い線は寒冷前線といいます。

 低気圧中心に向かって集まる風には、主に南から吹く暖かい風と、主に北から吹く冷たい風があり、低気圧周辺では、暖かい風と冷たい風がぶつかっています。

 前線とは、こうした空気のぶつかる場所が地上のどのあたりにあるかを示しています。

温暖前線はしとしと雨、寒冷前線は雷雨

 温暖前線では暖かく軽い風が優勢で、冷たい風とぶつかると、その上へのしかかるようにゆるやかに進んでいきます。

 上昇の速度が遅いので、雲はゆっくり発達し、しとしとと長時間降る雨になります。

 一方、寒冷前線は逆に冷たく重い風が優勢のため、冷たい風が暖かい空気の下へもぐりこみ、暖かい空気は急激に押し上げられます。

 そのため、激しい上昇気流が起こり、積乱雲が発達します。

 寒冷前線が近づくと、天気が急変し、雷雨や強雨になった後、急に気温が下がるのはこのためで、大雨や強風に対する防災上の注意が必要です。

梅雨前線は冬と夏とのせめぎ合い ― なぜ梅雨に雨が多いのか

 6月に入るといよいよ梅雨(つゆ)です。

 大阪の平年の梅雨入りは6月6日頃です。

 大阪では、年間雨量の30%弱が6月と7月に降っています。

 うっとうしいけれども、農業にとっては、水の恵みをもたらしてくれる大事な季節です。

梅雨の主役は梅雨前線

梅雨前線の天気図(気象庁HPから)
梅雨前線の天気図(気象庁HPから)

 天気図を見てみましょう。

 関東から九州・南西諸島にかけて温暖前線と寒冷前線が重なったような前線が描かれています。

 これは動きが遅いことから停滞前線と呼ばれていて、梅雨に多く見られることから、梅雨前線とも呼ばれます。

 梅雨期の停滞前線ではオホーツク海付近から吹く冷たい風と、小笠原付近から吹く暖かい風がぶつかり、ラグビーのスクラムのように押し合っています。

 押し合いで行き場を失った空気は、上昇気流となって雲を作り、雨を降らせます。

 梅雨に雨が多いのは、動きの遅い停滞前線で次々と雨雲ができるため、同じ場所で長時間、雨が降り続けるからなのです。

梅雨の後半は大雨に警戒を

 梅雨入り後しばらくは、晴れたり、雨が降ったりといったはっきりしない天気が続くことが多いです。

 しかし、7月に入ると、南の風が優勢になってきます。

 7月の湿った暖かい太平洋からの風が、冷たい風とぶつかると、時に、次から次へと雲を作り、同じところに集中豪雨を降らせることがあります。

 雲が線状に並ぶので、線状降水帯と呼んでいます。

 九州北部豪雨や西日本豪雨など、7月に西日本に大きな被害を与えた豪雨は、この線状降水帯によるものが多く、警戒が必要です。

梅雨明けでいよいよ夏本番

 夏の太平洋高気圧が大きく張り出すと、梅雨前線は北上し、梅雨が明けます。

 大阪の平年の梅雨明けは、7月19日頃です。

 梅雨明け10日といって、梅雨明け後10日間ぐらいは天気が安定し、夏の厳しい暑さとなります。

 農作業では、水田の中干しに適した時期となります。

 一方、熱中症が急増するのもこのころで、野外の作業には注意が必要です。

まとめ

 お天気入門、4月から6月は初級編です。どうでしたか。

 より詳しく知りたい方は、このブログ内にくわしい記事があるので、そちらもご覧ください。 

 天気図については、こちらをご覧ください。

 前線についてはこちら、梅雨についてはこちらもご覧ください。

 最後までお読みくださりありがとうございました。

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