ハウスを強風から守る

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2018年台風21号の強風によるハウスの被害 農家の防災
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 台風など強風に対しては、ビニールハウスは意外に弱いものです。

 ビニールの破損だけでも、張替えの手間とコストは大きいですが、ハウスの躯体に損害が出ると、大きな被害となってしまいます。

 しかし、台風などの強風は事前に対策できる場合が多いのも事実。

 ここでは、早めの対策でハウスを強風から守るノウハウについて解説します。

 なお、台風に関する基礎知識はこちらを、台風における防災情報の活用についてはこちらをご覧ください。

どんなときに強風が吹くのか

西日本の強風の事例

 まず、強風はどのような時に吹くのか、過去の記録から見てみましょう。

 大阪、名古屋、鹿児島の過去の最大瞬間風速のベスト3は以下のようになっています。

 各都市の上欄が最大瞬間風速、下欄が発生月日とその要因です。

場所最大瞬間風速1位2位3位
大阪60.0m/s50.6m/s47.4m/s
9/21 室戸台風9/16 第2室戸台風9/4 H30台風21号
名古屋45.7m/s42.9m/s42.0m/s
9/26 伊勢湾台風9/22 H10台風7号9/16 第2室戸台風
鹿児島58.5m/s55.6m/s53.1m/s
8/14 H8台風12号8/31 S60台風13号9/24 H11台風18号
大阪、名古屋、鹿児島の最大瞬間風速TOP3(2022年まで)

 ご覧のように太平洋側では、台風が強風の原因となっています。

北日本、日本海側の事例

 一方、北日本や日本海側では以下のようになっています。

場所最大瞬間風速1位2位3位
札幌50.2m/s34.4m/s33.8m/s
9/8 H16台風18号2001/12/30西高東低2016/3/1 西高東低
仙台41.2m/s38.7m/s37.0m/s
1997/3/11 低気圧?1987/11/24 低気圧?10/1 H30台風24号
金沢44.3m/s43.4m/s43.4m/s
9/4 H30台風21号10/5 H28台風18号2000/2/15西高東低?
札幌、仙台、金沢の最大瞬間風速TOP3(2022年まで)

 発生日の天気図が入手できず、想像で書いたものもありますが、北日本や日本海側では台風以外が原因で強風が吹くこともあります。

 まずは、これまで皆さんの地域でどんな季節、どんな要因で強風となったか、知っておくことが必要です。

ハウスを強風から守るために

早めにハウスの点検を

2018年台風21号の強風で被災したビニールハウス
台風で被災したハウス(2018年台風21号)

 台風の場合は少なくとも48時間前ぐらいには、どのあたりに上陸するか、予報で見極めることができます。

 もし、自分の地域に台風が近づくようなら、早目にハウスの点検をしておきましょう。

 ハウスの点検項目としては、以下が挙げられます。

  ○被覆資材に破れや損傷、ゆるみがないか

  ○金具類の締め直し、ハウスバンドの固定、側杭の固定・補強

  ○ハウス内に筋交いやX型の補強を行う。補強支柱をたてる。

 また、ハウスの周囲を点検し、飛びやすいもの(木片やプラスティックの空容器など)は速やかに片づけましょう。

 台風の場合は雨も伴うので、ハウス周囲の排水の点検や、電気設備の防水対策もお忘れなく。

基本は「地面と一体化」

 ハウスが強風で被害が出る一番の要因は、側面や隙間から風が入ることです。

 強風であおられ、船の帆のように風を受ける形となって、躯体ごと飛ばされたり、躯体がゆがんだりします。

 では、どうすればそれを防げるのか、考えてみましょう。

 まずは、ハウスの中に強風を入れないことです。

 台風の時期は暑い時期ですので、どうしても換気のためにサイドを開けたくなりますが、ハウスを守るためには閉め切ることが必要です。

 ハウスの中には一切風を入れないようにして、地面と一体化(風がハウスの上を吹き抜ける)することが必要です。

換気扇があれば作動させる

 ハウスに換気扇がある場合は、必ず作動させるようにします。

 これは換気扇を作動させることで、ハウスの中が陰圧になり、被覆材がハウスに少しでも密着するようにするためです。

 また、天窓自動開閉装置など温度センサー等で自動に開閉する装置は、強風時に開いてしまわないよう、手動に切り替えておきましょう。

どうしようもないときはビニールを切って躯体を守る

 ここまで万全の対策をとって、後は台風の通過を待つのみなのですが、思わぬ事態が生じることがあります。

 2018年の台風21号は、大阪のTOP3に入る強風の吹いた台風ですが、あらゆるものが飛ばされるすさまじい風でした。

 トタン板、商店の看板、ささくれだった木の太い枝、カーポートのアクリル板などなど。

 このようなものがハウスに突き刺さるように当たると、被覆材は簡単に破れてしまいます。

 一度破れてしまうと、今度は強いハウスほど風に抵抗するため、パイプがゆがむ、倒壊するなどの大きな被害を受けてしまいます。

 そんな場合は、ビニールを切って躯体を守ることを優先する苦渋の決断をしなければなりません。

 ビニールだけならまだ安くすみますが、ハウスの再建にははるかにコストがかかるからです。

 ただし、施設共済に加入しているハウスのビニールを切るときは、必ず農業共済組合に連絡することをお忘れ無く。

まとめ

 ビニールハウスは雨風から農作物を守るためのものですが、それだけに強風で被害を受けると大きな痛手となります。

 自分の地域で強風が吹くのはどんな気象条件なのか。

 そして、早めに天候の変化を知って、早めに対策を講じることが、第一です。

 また、勇気を持ってビニールを切り躯体を守ることも、時には必要です。

 そうならないために、この記事を参考にしてください。

 気象庁の台風情報についてはこちらをご覧ください。

 また、台風の基礎知識はこちらを、台風の際の防災情報の活用はこちらをご覧ください。

 ハウスの雪対策についてはこちら

 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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