夏のニュースの定番といえば、「今日は熱中症で〇〇人搬送された」という話題。
近年では、熱中症での死者が年間1,000人を超える年も頻発しており、政府も本腰を入れて対策に取り組みこととしています。
でも、現場の人間とすれば、危険をできるだけ早く知り、事前の対策をとるのが、一番熱中症対策としては重要だと思います。
熱中症とはどんな症状か。
熱中症の予防対策と応急対策とは。
熱中症について解説します。
なお、熱中症警戒アラートや暑さ指数についてはこちらで解説していますので、併せてご覧ください。
熱中症とはどんな症状か
熱中症とは、高温多湿な環境に体が適応できないことでおこる、さまざまな症状のことをいいます。
めまい・立ち眩みや、体がだるくなる、筋肉が痙攣する、皮膚が熱くなったりほてったりする、吐き気がする、などさまざまな症状が現れます。
では、熱中症はどのようなメカニズムでおこるのでしょうか。
人の体は、運動や活動により発生した熱を、発汗などによって対外に放熱し、体温を一定に保つようになっています。
しかし、温度や湿度が高い環境の中では、こうした機能がうまく働かず、体温がだんだん高くなっていきます。
また、発汗することにより、水分や塩分が失われ、血流が悪くなり、汗がうまく出なくなって、ますます体温の上昇を招くといった悪循環が起こります。
こうした体内の異常が症状として現れたものをすべて熱中症と呼んでいます。
熱中症になりやすい人
よくニュースなどで、「東京消防庁によれば、9歳から86歳までの76人が熱中症の疑いで搬送されました」などと放送しています。
これだけを見ると、子供から老人まで、みんながなる症状のようですが、熱中症になりやすい年齢というのは存在します。
乳幼児はまだ体温調整機能が十分に発達していないので、熱中症になりやすいといわれています。
また、背が低い、ベビーカーに乗っている、といったことから、炎天下でのお散歩は、大人より地面に近く、地表からの熱放射の影響が強いため、特に気をつけてあげる必要があります。
一方、高齢者も高温に対する感受性が鈍っているため、熱中症になりやすい傾向があります。
そのほか、
〇スポーツをする人(運動会など特に要注意)
〇野外で働く人
など、高温・高湿度のもとで体を動かし、特に作業や運動に集中している場合ほど、熱中症になりやすい傾向にあるようです。
熱中症を予防するには
暑熱順化とは
暑さに体が慣れることを暑熱順化といいます。
5月頃急に暑くなった時や、梅雨の中休みの晴れの日などに熱中症が多いのは、体が熱さに慣れていない、即ち暑熱順化が不十分であるからです。
では、暑熱順化が進むには、どのような対策を行えばよいのでしょうか。
一言でいえば、暑くなる前から少し汗ばむような運動などを行い、身体の体温調整機能を高めておくことが有効とされています。
ウォーキングやジョギング、サイクリングなど日常生活の中でできる少し汗をかくような運動を心がけてはいかがでしょう。
また、浴槽にお湯を張って入浴することも、適度に汗をかくことにつながり、暑熱順化に効果があります。
いずれの場合でも、適宜水分と塩分を補給するよう、心がけましょう。
熱中症の予防対策
熱中症の予防対策は、その時の状況やその人の体調にもよりますが、基本的には
- 発汗を促進し体温調整をしっかり行うこと
- 体温調整ができにくい場合は、体を涼しくする工夫をすること
が重要になります。
発汗を促進するには、水分の補給、適度な塩分の補給のほか、日ごろから健康状態に気をつけ、たっぷり睡眠をとり、バランスの取れた食生活を続けることが必要です。
体を涼しくする工夫とは、エアコンや扇風機の活用をはじめ、帽子をかぶる、冷却グッズを使う、服装を工夫するなどが考えられます。
また、熱中症が発生しやすい条件下で作業する場合などは、こまめな休憩と、水分・塩分補給を心がけるようにしましょう。
熱中症の応急対策
※これはあくまで応急対策です。意識のない場合や、水分を自分で摂取できない場合、体調の改善が見られない場合は、救急車を呼ぶ、医師の治療を受けるなど、速やかな措置を行ってください。 |
もし、めまいや吐き気がする、虚脱感や倦怠感がある、異常な発汗や筋肉の硬直があるなど、熱中症と思われる症状が出た時は、まず、涼しいところへ避難しましょう。
そして、服装を緩めるとともに、氷枕や保冷材などで、体を冷やし、体内の熱を放出しましょう。
体を冷やすときには、両側の首筋、わき、足の付け根など、太い血管の通っているところを冷やし、血液を通して体全体が冷えるようにすると効果的です。
続いて水分を補給します。
大量に汗をかいている場合は、糖分・塩分を同時に補給できるスポーツドリンクや、塩分を含む経口補水液などを飲むとよいでしょう。
但し、吐き気のある時や意識のない時は、無理に水を飲ませると、気管にはいったりしてかえって危険です。
※熱中症は命にかかわる危険な症状ですので、意識を失った、水分を自分で取れない、応急処置でも症状が改善しないような場合は、速やかに救急車を呼ぶか、医療機関に駆け込みましょう。 |
まとめ
熱中症による死者は年間1,000人を超える年もあり、政府としても本腰を入れて対策に取り組んでいます。
この記事が熱中症についての皆さんへの関心を高め、少しでも予防につながればありがたいです。
この記事の作成に当たっては、環境省、農林水産省、消防庁などのサイトを参考に作成しています。
また、熱中症についての様々な知見を集めたサイトとして、「熱中症ゼロへ」というサイトがありますので、是非参考にしてください。
気象の面から熱中症になりやすい気象条件や暑さ指数については、こちらもご覧ください。
最後まで読んでいただきありがとうございました。