台風は強風、大雨、高潮など、多くの災害の原因となる気象現象です。
しかし、進路をある程度予想できるようになったことから、早目に備えることで被害を最小限に食い止めることができます。
気象庁では様々な図表を使って情報を発信し、台風接近前から警戒を呼び掛けています。
こうしたデータをうまく活用することで、台風に対する防災上の準備を進めることができます。
ここではこうした情報の見方について、解説します。
なお、農作物の大雨対策はこちら、強風対策はこちら(ハウス、露地)もご覧ください。
気象庁の台風情報
気象庁HPでは様々な図表を使って、台風の進路、接近日時、暴風域や強風域に入る可能性、想定される雨量や風速などを、原則1日4回(3時、9時、15時、21時)、上陸時には位置や気圧などは1時間ごとに発表しています。
様々な図があるので、どれを見るか迷ってしまうかもしれませんが、特に大事な情報について説明しますので、参考にしてください。
台風5日間経路図
まずは、気象庁のHPから防災情報の中にある台風情報のページを開けてみましょう。
次のようなページが出てくるはずです。
台風の今後5日間にわたる進路や勢力、暴風域に入る可能性のある地域などを示したものです。
ここでは、大阪に対する影響について、この経路図から推測してみましょう。
この図を見るときに注意してほしいのは、次の3点です。
台風の中心がいつ頃どこを通過するか。
この図では現在台風の中心は北緯25度より南の南海上にあります。
白い線で示された範囲は、今後台風の中心がを通る可能性が高いエリアです(70%以上)。
白い線で囲まれた円は、そこに表示されている時間には、台風の中心がこの円の範囲内に位置する可能性が高いことを示しています。
以上のことから、この台風の中心は
1日後には沖縄本島の東の海上、
2日後には屋久島・種子島付近、
3日後には北九州・山口県付近、
4日後には能登半島近辺の日本海、
5日後には北海道からオホーツク海方面
を通る可能性が高いが、最も東寄り(右側)に進むと、3日目から4日目には、四国を経て大阪に接近する可能性もあることがわかります。
台風の暴風域に入るかどうか。
赤い線で囲まれた部分は台風の暴風域(風速25m/s以上)に入る可能性のあるエリアのことです。
この図では、大阪はぎりぎり暴風域の外と予想されていますが、このような場合には風対策の心構えをしておいて、半日後、または翌日の発表される予報を見てから、対策をするかどうかを見極めることも必要です。
台風の中心は大阪のどちら側を通るか
皆さんご存知のように、台風は、積乱雲が反時計回りの渦巻きとなっているものです。
従って、台風の中心が大阪の西(左)側を通るとき、東(右)側を通る場合に比べ、南からの暖かく湿った空気が流れ込み、雨・風とも強くなります。
この図では、台風の中心は日本海を通る可能性が高い予報ですが、中心は大阪から見ると西側に位置するので、注意が必要です。
暴風域に入る確率
5日間経路図の上にある「台風第○号経路予想図」のボタン(スマホでは右上のボタン)をクリックすると、メニューが出て暴風域に入る確率のページを見ることができます。
クリックしてそのページを選択すると、上図のような図が現れます。
この図は、現在から5日以内に台風の暴風域に入る確率を示したものです。
紫色は70%以上、赤は30~70%、黄色は5~30%を示しています。
下のボタン(〇日先まで)をクリックすれば、いつごろ暴風圏に入るのか見ることもできます。
この図の場合は、大阪では、3日後から4日後に黄色(5~30%の確率で暴風域に入ることがわかるので、台風が予想通りの勢力・進路で進めば、暴風になる可能性があるという風に読み取るといいでしょう。
なお、この地図で知りたい場所をクリックすると次のグラフが現れます。
これは、この台風での鹿児島県の例ですが、18日0時ごろから暴風圏に入る確率が急に高まり、18日正午前後ではほぼ100%、19日午前中まで暴風域に入っている可能性が30%以上あるということを示しています。
この図を表示させることで、大阪はいつごろから暴風域に入るのか、逆算すれば、ハウスの補強はその半日前までには終わっておく必要がある、ということがわかるのです。
気象情報、警報、注意報
気象庁では、「気象情報」というページで、逐一台風の現況と予想、主要な防災事項を記した、全般気象情報(全国対象)という資料を、日に数度発表します。
また、台風が接近してくれば、影響の出そうな地方(中国地方、近畿地方など)や府県単位で、より細かな情報を発表します。
台風最接近2日前~24時間前ぐらいには、ほぼ関係府県の情報は発信され、TVニュースなどで大きく取り上げられることになります。
いよいよ台風が近づいてくれば、気象台が出す警報、注意報に気をつけましょう。
特に、暴風については、中心から大きく離れていても、被害が出るような風になることもあります。
警報が数日のうちに発表される場合には、「早期注意情報」として、警報級の可能性「高」、「中」などと、警報の可能性の高さも示して、警戒を呼びかけます。
注意報にも、今後警報に変わるようなものには、!(コーテーションマーク)を付してより注意を呼び掛けています。
いろいろな情報に注意をしながら、台風の被害を少しでも軽減できるよう、備えを進めましょう。
まとめ
今回は、気象庁が発信する情報をもとに、台風接近にどのように備えるかについて、解説しました。
台風に限らず、気象庁は様々な防災上有益な情報を発信していますが、気象予報士である自分も含め、なかなかすべてを活用するところには至っていないのではないかと思います。
農業技術者の皆さまや農家の皆さまには、是非時間のある時に、気象庁の出している様々な情報にはどのようなものがあるか、どのように活かしていけばいいか、考えてみてほしいと思います。
気象庁の防災情報のページはこちら、台風の知識解説のページはこちらをご覧ください。
なお、このブログ内では、農作物の大雨対策はこちら、強風対策はこちら(ハウス、露地)で解説していますので、是非ご覧ください。
最後まで読んでいただきありがとうございました。