気象予報士試験の専門知識は、観測データを元にどのような予報を出すかについての知識を問う科目。
日進月歩の分野で、気象庁の予報手法や情報発信もそれにつれてかわるので、対策が必要です。
専門知識の試験対策として、気象庁HPを活用する方法を私の経験を元にお話しします。
参考書は最新の情報ではない
参考書の持つ避けられない弱点
あなたの手元にある専門知識の参考書を見てください。
表紙ではありませんよ。一番最後のページです。
第○版 第1刷 ××年×月×日 の部分です。
この日以降の新たな知見はこの本には反映されていないということを示しています。
参考書が紙媒体であり、一定以上の部数をまとめて刷っているという特性上、致し方ないことです。
しかし、受験生にとっては、最新情報は自力で補填する必要があり、何らかの対策が必要です。
参考書と実際で違った事例
皆さんのお持ちの参考書の台風の予報について記載したところを見てください。
72時間先までは、中心位置のほか、中心気圧、最大瞬間風速、暴風警戒域などを予報するが、96時間先と120時間先は、中心位置のみを予報するとなっていませんか。
また、過去問平成29年第1回問14で「台風の5日先の予報として、中心気圧や最大瞬間風速、暴風警戒域が含まれている(一部省略)」という問いがあり、正答は誤となっています。
参考書が書かれた時点、過去問が出された時点ではこれで正しいのですが…
今(2023年2月)、気象庁のHPを見ると以下のように書かれています。
気象庁では、台風の5日(120時間)先までの24時間刻みの予報を6時間ごとに発表します(1日(24時間)先までの12時間刻みの予報は3時間ごとに発表)。予報の内容は、各予報時刻の台風の中心位置(予報円の中心と半径)、進行方向と速度、中心気圧、最大風速、最大瞬間風速、暴風警戒域です。
従って、上記と同じ問題が今出題されれば、正答は正となってしまうのです。
気象庁HPで最新の情報を得るには
何が最新かを知るためには
例えば、令和3年(2021年)6月から「顕著な大雨に関する情報」が発表されています。
線状降水帯に関する情報なので、いつ予報士試験に出てもおかしくないですよね。
新たな情報を発するときは、それを周知するために気象庁は報道資料提供をします。
なので、報道資料提供(気象庁のトップページ)を見れば、当然発表されています。
このときは、5月24日に発表され、6月17日から運用が開始されました。
ですが、気象庁の報道発表は項目がいっぱいで、何年か前の発表でどれが大事か、どれが関係あるかを探すだけで、無駄に時間が過ぎてしまいます。
そこでおすすめなのが、気象庁>知識・解説>気象・地震等の情報を扱う事業者等を対象とした講習会 のページです(こちら)。
気象庁は新たな予報を出したり、予報の方法を変更するときには、必ず予報事業者等に説明をしています。
その資料と動画をまとめたのがこのページで、ここをまず見ることがおすすめです。
講習会ページをどう活用するか
講習会ページには、講習会資料公開の年月日とその内容が示され、講演資料や動画はリンクとなっています。
火山や地震の情報もありますが、多くが気象に関する情報です。
このうち、演題を見て、予報手法や発表される情報に関係あると思われるものは、一応ざっと目を通しましょう。
専門家向け資料なので、内容的に難しいものもありますが、わからなくても受験者は問題ないと思います。
それよりも、何がかわったのか、なぜかわったのか、そのことでどんな効果があるのかということを読み取るようにします。
その資料から同じ「知識・解説」内の一般向け解説記事を読んで、簡単にまとめておけば、その項目は理解できるでしょう。
まとめ
気象庁HPを活用した専門知識の対策について、簡単に説明しました。
例に挙げた「台風の5日間予報」のほかにも、「大雨や洪水警報の発表基準」、「顕著な雨に関する情報」、「キキクル」など、チェック項目はいくつかあると思います。
この記事を参考に情報収集を進めてください。
私の独学での気象予報士合格体験記はこちら。おすすめの参考書はこちらをどうぞ。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。