気象予報士試験用の参考書や問題集、何を選んだらいいのかよくわかりませんよね。
特に、はじめて試験に挑む人はどこから手をつけたらいいか、悩むと思います。
ほぼ予備知識なく、1年の独学で一発合格した私が使った参考書、問題集をご紹介しますので、参考にしてください。
気象予報士試験はどんな試験か
気象予報士試験は、一般知識、専門知識、実技の3科目に分かれていて、それぞれを合格しないと資格を取ることはできません。
ただ、一般知識・専門知識(以下「知識科目」という)と、実技は大きく異なります。
知識科目はすべて5択の15問で、合格ラインは11問以上正解。
問題文の正誤の組み合わせを5通りから選ぶ方式で、正解ははっきりしています。
これに対し、実技は語句や文章を書いたり、図に線を書き加えたりと、いわゆる記述式で、目標得点は70点(それ以下が合格ラインで、回により異なる)。
初学者には正解がはっきりしないので、独学の難しい分野です。
参考書を選ぶには、こうした科目の特性を踏まえて、選んでいくことが重要です。
知識科目の参考書はこれ!
知識科目については、基本的には○×式ですので、正確な知識が要求されます。
かといって、クイズを解くのではありませんから、知識が断片的では困ります。
予報士試験の単元毎に、わかりやすく順序立てて書かれている参考書がおすすめです。
特に初めての用語や気象機器などの名称が出ますので、索引が充実していることも大事なポイントです。
らくらく突破気象予報士簡単合格テキスト<学科・一般知識編>
らくらくシリーズで唯一第2版までいっている参考書(よく売れているということか)。
気象学をきちんと勉強した人が、試験向けにわかりやすく、かつポイントを押さえて書いた本のようです。
時々偏微分方程式なども出てきますが、「わかる人はここまで知った方がより理解できるよ」という感じで、公式以外の(説明用の)数式は読み飛ばしても全く問題ないです。
この本のいいところは2つ。
まずその1は、各章末に練習問題がついていて、その大部分が過去問であることです。
いきなり過去問ばかりの問題集をやるのはハードルが高いですが、これなら各章をざっとさらってから、過去問で練習して復習するという、いい流れが作れます。
また、練習問題の解答も充実していて、解答を見るだけでも勉強になります。
らくらく基礎知識のいいところのその2は、巻末の数学と物理の基礎知識の解説。
文系の方なら、三角関数やn乗根なんか、とうにお忘れでしょう。そういう方に基本の大事なところだけ過不足無く解説してくれています。
物理量のジュールだのパスカルだのニュートンなどの解説や、試験にも出るディメンジョン(単位をすべてkg、m、秒の組み合わせで表すこと)もしっかり出てます。
とにかく、この本はおすすめです。
らくらく突破気象予報士簡単合格テキスト<学科・専門知識編>
らくらくシリーズの専門知識編。
こちらは一般知識に比べて、気象庁の観測や予報方法の細かい中身を問う問題が多く、理解よりも暗記が中心となる科目です。
ですから、参考書も必要十分な知識が網羅されているかがポイントとなってきます。
らくらく専門知識編はその辺の記述がしっかりなされていて、索引も充実していることから、逆引きにも便利な参考書です。
練習問題も過去問ばかりで、解説もしっかりしていることから、練習問題を解きながら知識を固めて行くには適した参考書です。
一般気象学 第2版補訂版
これを紹介するかどうかは悩んだのですが、予報士試験のバイブルとか、たね本といわれているので、私も買いました。
予報士試験で見たことのある図表があちこちにあるのですが、正直記述が難しい。
ただ一般知識の辞典として、電車の中で過去問の逆引きするときに私は使っていました。
読解できる力があれば、しっかりしたいい本だとは思います…
気象庁ホームページ 知識・解説
参考「書」ではないですが、最新の知識を惜しげも無く出している気象庁HPを使わない手はないでしょう。
特に専門知識の問題に出る内容は日進月歩、現場の予報士と同じように、受験生も勉強は欠かせません。
特におすすめは、気象・地震等の情報を扱う事業者等を対象とした講習会のページ。
最新の気象庁の観測や予報の動向を、気象会社などにレクチャーするページです。
気象に関する部分のパワポの資料だけでも目を通してみてはいかがでしょう。
過去問の解答が今では変わっていることもあります(台風の5日後までの予想の発表内容など)。
「気象予報士になりたい」というモチベーションが上がる効果もありますよ。
専門知識対策で気象庁HPを利用する方法はこちら。
実技科目の参考書はこれ!
実技試験は、記述式ですので、しっかりした知識だけでなく、考察力、表現力が要求されます。
それに加えて、実技ではじめて出てくる知識(天気記号、特徴ある雲の形と名前など)もあります。
ですが、私は知識はざっとさらっておいて、問題に当たって実力をつけるのが一番いいと思います。
なぜなら、すべての知識を網羅する参考書を作ることはおそらく困難で、覚えることもまた困難であり、過去に出たものをさらっておけば、試験対策としては十分と思うからです。
私の推薦する参考書もそうした観点で選びましたので、事典の類は載せておりません。
らくらく突破気象予報士簡単合格テキスト<実技編>
らくらくシリーズの実技編。定番ですが、これしかないと言っていいでしょう。
参考書の部分は、事典としても使えるボリュームで、必要なことは網羅されています。
単なる暗記ではなく、バックボーンになる気象の根拠も明確に示されているところは優れていると思います。
ただ、演習問題は過去問ではなく、オリジナル。
良問で実技試験の傾向を一通り押さえているとは思うのですが、これだけでは過去問対策としては不十分かと思います。
著者自ら書いているように、過去問対策には最低15~25事例が必要だとか。
なら、過去問を10回分(20問)やる方がよくはないか、と私は思います。
ただし、きちんとした解答・解説つきでないと、本当に答えが正しいかどうか確認できないので、ユーキャンに過去問が解説つきでついていたのは本当にありがたかったです。
気象庁ホームページ 気象の専門家向け解説資料
このページは、高層天気図、予想天気図(FAX天気図)、短期予報解説資料、それに週間予報解説資料がセットで載っているページです。
このうち、週間予報を除く3点が最高の実技試験対策参考書兼問題集になるのです。
実技試験でおなじみの500hpaの渦度やら、850hpaの相当温位などの現況図と予想図を元に、1日2回その日の当番の予報官(たぶん)が天気予報を解説します。
気象予報士の業務の参考にするようにとの資料ですが、このときの気象庁の解説資料を基に、各天気図を解析するのは、大変勉強になります。
トラフがどこにあるのか、下層大気の動きはどうか、どこで積乱雲が発生するのかなど、天気図を元にした解析が示されます。
これで穴埋め問題や記述問題を自分で作って、1週間後にやってみるなどすれば、少なくとも解析力はすごくつくでしょう。
私は、問題作成まではしませんでしたが、これを見ることで、トラフがどこにあるか、天気図がどんな形なら積乱雲ができるかなど、すごく力がついた気がします。
一度お試しあれ。
問題集はこれ!
気象予報士試験精選問題集 2024年版
第1回~第60回までの過去問を精選して載せた問題集。
内容が重ならないよう注意し、同じ内容の問題は最新のものを載せるなど、利用者に便宜を図ってくれています。
過去問をやりながら補充的にこの問題集をやるか、問題集をメインにして過去問をやるか、どちらのやり方でも力はつくでしょう。
間違った問題をチェックして、2回目は間違った問題を重点にやるなど、何度も繰り返すといいでしょう。
ただ、A5版のサイズで解答用紙が省略されているので、実技の問題はやりにくいです。
電子書籍も出ているようなので、そちらを購入すれば、印刷サイズなどの調整ができるかも。
それと、古い過去問(特に専門知識)の答えが、その時点の観測・予報では正解でも、現時点では古くなっていることがあります。
先にも触れた台風の5日前の予報などです。
気象庁HPで確認するなど、その点だけ注意して利用してください。
なお、このコメントは2022年度版に対するものですので、ご注意ください。
まとめ
な~んだ、定番ばかりじゃん、と思われたお方、その通りです。
「定石こそ勝利への道」なのです。
あれも手を出し、これも…では、どれも定着しません。
みんながやっている参考書でも、みんながマスターしているわけではありません。
あなたのやり方で、しっかり参考書を身につければ、隣の受験生が同じ本を持っていても、何も怖くはないのですから…
合格体験記はこちらをご覧ください。
最後まで読んでいただきありがとうございました。